●「大麻という農作物」がモチーフ
麻の葉模様は鎌倉時代の仏師、快慶の時代に誕生し、江戸時代の二人の歌舞伎役者によって爆発的な流行となり、世界的な浮世絵師の葛飾北斎が発展させたデザインです。大陸からの仏教美術の影響を受け、日本で形が先に誕生し、後に身近な存在であった「大麻の葉」に似ていることから、麻の葉模様と名付けられました。現在では「違法な薬物」というイメージが強い大麻ですが、数十年前までの日本人にとっては衣食住を支える農作物でした。
●日本を代表する模様〜世界へ
この模様は現在も、飲料や食品のパッケージ、交通機関やインフラ、店舗デザイン、アパレルをはじめあらゆるところに用いられています。また、日本郵便が発行した「和の文様シリーズ第1弾」では、富士山とコラボレーションし、数学や家庭科の教科書に取り上げられ、2020年に開催されるドバイ万博の日本館の外装は麻の葉模様と発表されるなど、今や日本を代表するデザインといっても過言ではありません。またインスタグラムなどのSNS上では、「asanoha」という名で海外からの投稿も数多くあるなど、国内外を問わず広がりを見せています。
●クラウドファンドによる企画
本書は、クラウドファンディングにより計123名の方からご支援いただき発行した書籍です。その歴史や模様に込められて意味をはじめ、所縁の深い様々な方々への取材や描き方・作り方なども交えたビジュアル要素も多い一冊です。